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ていますが、実際柔道の練習というのは、すごく厳しいです。正直私自身も楽しいという思いをしたことがない。でも、図4にあるように、相手を投げたとき、試合に勝ったとき、どの子どもでも、楽しい気持ちになると思うのです。私自身が日頃思っていることのひとつに、大会運営のことがあります。確かに日頃の練習を通して子どもが好きになるあるいは嫌いになるというのも、大きなことだと思うのですが、大会・試合というのは、子どもにとってはそれ以上に大きなことだと思うのです。柔道の場合、ほとんどがいわゆるトーナメント戦です。表彰状も1位から3位までということに、日頃から疑問を持つのです。私自身は、子どもは子どもなりのレベルでひとつ勝てばほめてやりたい、子どもも「ようやったな」と本当は思いたい。でも、1番はひとつしか無い。柔道の場合、個人的スポーツなので、試合運営を変えることで、1番が10人でも20人でも出すことができると思うのです。奈良県でもしそういう試合を工夫されているようなことがありましたら、教えていただきたいと思います。
池辺先生 自分も柔道をやっていて楽しいと思ったことがなかった。それでこういう研究をしました。やはり勝つことが喜びにつながり、そこからまた発展していくと考えます。もちろん県大会、あるいはそれにつながる郡市予選の試合方法を変えるというのは、不可能だと思います。ただし、新人戦のように上の大会につながらない大会や小さい単位の郡市予選であれば、変えることができると思います。例えば部員数の減少から、細かい体重制で大会をやりますと、大会ができないような階級もあるので、場合によっては学年別にしてみたり、あるいは体重別の枠を増やしたりというようなことをやっています。私の郡では、新人戦において、男子の階級で一番下が55?級なんですが、郡内を見てみますと、30?代の生徒がずらっと並んでいる。だから、その一番下の設定を先生方と話し合いをして、もうひとつ下の階級を作ろうということで、45?級というのを設定して大会運営をしています。そうすると、今まで勝ったことがない子が、日頃の試合よりも立派な勝負ができます。子どもたちも、45?級を目標に頑張っているという姿があります。また、女子の部員が減ってきて、ある階級に集中し、ある階級は2・3人になってしまう場合があります。その階級は、顧問同士の話し合いの中で撤廃して、顧問が設定した、例えば軽量級・中量級・軽重量級・重量級というふうに、県の何?級といった階級以外の試合を設けてやることもしています。
司会者 それじゃ、あと2名。できるだけご意見のほう、お願い致します。
群馬県 今群馬県の抱えている問題の答えを出して頂いたかなという感じがしまして、非常にありがたかったです。実は、群馬県では全員入部制を見直すという動きが出ています。中体連とすれば、部活動をやっていた先生がだんだんとやる気をなくしてきたというような状況があります。一番大きな問題がそこなんです。そこで、お聞きしたいのは、そのような部活動の加人のことについて、他県ではどのような取り組みをなされているのか、そういうことを教えて頂きたいと思います。もうひとつは、佐藤先生の紀要59頁に、人数が少ない部活動の救済として、単一学校規模の指導を越えた指導体制の充実ということが書かれていますが、具体的にはどのようなことを頭の中に描いているのか、そのことを詳しく知りたいと思います。よろしくお願い致します。
司会者 もう1名、最後なんですが。
兵庫県 小規模校であれば、顧問の異動に関係してその部が廃部になるというようなことがあったり、顧問不在ということで、未経験の先生に指導をお願いするということが出てくるだろうと思うので、これからますます外部の指導者が、増えてくるのではないかと思うのです。三重県も奈良県も外部の指導者等が、既にたくさんの種目において配置されているようにみせて頂きました。実際その外部指導者の位置付けであるとか、実際の活動、あるいは外部の指導者と顧問との問題点等がありましたらお聞かせ願えたらと思います。

 

 

 

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